土田圭介,鉛筆画,画像 土田圭介,鉛筆画,画像 土田圭介,鉛筆画,画像 土田圭介,鉛筆画,画像 土田圭介,鉛筆画,画像 土田圭介,鉛筆画,画像

 Artiststatement

 

心にある世界を描くために

 幼少の頃から絵を描くこと、折り紙や粘度などを使い何もないところから何かを生み出すことに面白さを感じていました。小学生の頃に家庭用ゲーム機が販売されてからはRPGゲームにはまりました。そしてそれがきっかけでゲーム小説『イース』やファンタジー小説『ゲド戦記』など様々な物語の本を読みあさり、またその頃 学校の図書館にあった『AKIRA』という漫画に出会い内容は難解で理解できなかったもののその独自の世界観に圧倒されました。『ゲド戦記』や『AKIRA』もそうですが物語の分からない未知の部分に当時の私はとても惹かれていました。そんな物語の奥にある隠されたものを想像する時に感じたワクワクした感覚が私の制作の原点になっています。


続き>
中学高校時代は周りと馴染めず、時にプライドを踏みにじられるような事もありました。そんなを経験の中で何をされても傷つかないように心を凍らすイメージを自身の中に作り教室では上辺のコミュニケーションをとりながら過ごしました。気持ちが抑えらず学内にいることが耐えられなくなると授業に出ず学校から離れた古本屋で何時間も過ごしました。そこで読んだたくさんの本が自身の感情を慰め救ってくれた気がします。そのプレハブ作りの薄暗い古本屋のことは今でも心に強く残っています。
 
  社会人となり一人暮らしをする中で物思いにふける時間が増え一度は諦めていた描くことを人生の中心に置きたいという思いが募り退社し、美術学校へ入学しました。そこでは自身の方向性を見つけるため、人と違うことをしようと描く内容、画材や技法の試行錯誤を重ねていました。しかしその一方で「これは自分がやりたいことなのか」という違和感が常につきまとい、それは周りに追いつかなければという焦りと漠然とした『芸術』という言葉に縛られていたのだと気づきました。
 そこで初心に戻り自身の思いにそって制作してみようと、幼い頃から身近にあった鉛筆だけを使い作品を描いてみることにしました。描くモチーフは心という形のないものの形を自分で想像したものにしました。心は一定ではなくそのイメージも毎回違うので面白いものが無限に出来ると思ったからです。当時、私はデッサンの手法を忘れており何の気なしに縦の線だけで陰影つけるという描き方をしました。そうして出来上がったものを見たとき自分が無くしてまった長く探していたものを見つけた気がしました。

 美術学校時代にこの描き方を見つけそれは本当に偶然でしたが、今は自身の思いを表現するにはこの方法が一番だと感じています。紙に線を刻むときには気持ちも刻んでいるように感じ、それは線の一つ一つに表れます。疲れていれば線は歪み、気持ちが入っていれば真っ直ぐな線が引けます。以前は歪んだ線を作品に入れるのが嫌でしたが今は真っ直ぐな線、歪んだ線、美しさも汚さも含んだ作品が自身が求める作品の形だと思っています。そうして出来上がった作品は柔らかくも硬質でもあるという矛盾した面白さのある絵肌になります。